ビジネス活用術

伝わる情報は“4つだけ”?“4±1の法則”でコミュニケーションを磨こう!

4±1の法則とは

 「4±1の法則(マジックナンバー4±1)」という言葉を聞いたことがありますか?これは、近年の認知心理学の研究で再注目されている情報処理の限界数値を示す理論です。従来は「7±2の法則」が有名でしたが、現在ではより現実的な数値として「人が瞬間的に処理・保持できる情報は3〜5個である」という考え方が主流になりつつあります。 この法則は、アメリカの認知心理学者ネルソン・コーワン(Nelson Cowan)らの研究によって裏付けられています。ミラーの提唱した「7±2」は、実際には繰り返しやチャンク化といったテクニックが前提になっていたため、“素の状態”で扱える情報量はもっと少ないということです。

ビジネスの現場でも、「伝えたい情報が多すぎて相手に響かない」「会議の論点が整理されておらず脱線しがち」「プレゼンで何を伝えたいのかぼやけてしまう」といった課題があるのではないでしょうか。こうした問題は、多くの場合“情報量が多すぎる”ことが原因です。 この「4±1の法則」を意識することで、「伝える情報を3〜5個に絞る」ことができ、聞き手が混乱せずに本質を理解できるようになります。これは、伝え方におけるミニマル思考とも言えますし、「情報の断捨離」のような感覚とも重なります。 つまり、現代のビジネスにおいては「情報を“減らす”ことで伝わる」という逆説的な戦略が求められていて、「4±1の法則」はその有効なガイドラインになるのです。

なぜ4±1の法則が重要なのか?

 「4±1の法則」が注目されている背景には、現代のビジネス環境が“情報過多”にさらされているという状況があります。スマホ、チャット、メール、SNS、タスク管理アプリなど、常に情報の波に飲まれている私たちの脳は、日々処理能力の限界を試されています。 そんな中で「伝える内容を減らす」「覚えてほしいポイントを3〜5個に絞る」というアプローチは、実はとても実用的です。たとえば、営業資料や提案書で10個以上のアピールポイントを並べても、お客様の記憶に残るのはせいぜい数個です。

Niwa
Niwa

 たくさん伝えたい内容があっても、「最も重要な4つ」に絞って強調した方が、結果的に印象に残るということですね。

さらに、チームマネジメントの場面でも「指示やタスクを4つ以内にまとめる」と、部下の理解度と行動力が格段に上がります。これはリーダーとしての“伝える力”にも直結する部分です。また、プレゼンや会議では「今日伝えたいことは3つあります」「議論したいのはこの4点です」と、最初に数を明示することで聞き手の集中力がグッと高まります。聞く側も、「あ、あと何個で終わるんだな」と心構えができるので、話の流れに乗りやすくなります。 このように「4±1の法則」は、伝達・記憶・理解・行動といったあらゆるビジネスプロセスの効率を上げることができる、まさに“少数精鋭の情報設計”の武器になる考え方です。

実践するためのポイント

「4±1の法則」を日々の仕事で活かすには、いくつかの実践的なポイントを押さえておくと効果的です。以下に、すぐに試せる4つの方法をご紹介します。

1. 情報の“目的”を明確にする
まずは、「何のためにこの情報を伝えるのか?」という目的を明確にしましょう。目的がはっきりすると、自然と伝えるべき情報が絞られてきます。たとえば「この提案書で決裁をとりたい」という目的があれば、最も説得力のある3〜5個のポイントに集中すべきです。

2. 情報の“グループ化”を活用する
もし伝えたい内容が5個を超えそうな場合は、関連する情報を1つのまとまりにチャンク化しましょう。例えば「課題→原因→対策→効果→期待される成果」と構成すれば、5つのまとまりとして整理され、聞き手も追いやすくなります。

3. スライドや資料は「1枚1メッセージ」
スライド資料では、1ページに詰め込まず、1つのメッセージに絞ることを意識してみてください。そしてそのメッセージが、全体の中で最大でも5個以内に収まっているかを確認するようにしましょう。

4. 「覚えてもらう」視点を持つ
特に商談やプレゼンでは、「聞き終わったあとに、相手が何を覚えているか?」という観点が重要です。印象に残してもらいたいポイントは、3〜5個に限定して繰り返し強調することで、記憶に残りやすくなります。

このように、単に「情報を減らす」だけではなく、「戦略的に絞って設計する」ことが、“伝わるビジネスコミュニケーション”を生み出す秘訣になります。

まとめ

「4±1の法則」は、現代の情報過多なビジネス環境において、私たちが“本当に伝えるべき情報”を選び抜くための強力なガイドラインです。

これまでの「7±2の法則」ももちろん有用でしたが、より実践的で、かつ人間の脳の処理能力に忠実なのが「4±1の法則」。私たちが日々のコミュニケーションで意識するべきは、“相手の脳に優しい情報量”であること。つまり「伝える力=削る力」なんです。

次にプレゼンをする時、会議を開く時、部下に指示を出す時…。ぜひ「これは4つ以内に収められるか?」と考えてみてください。きっと、これまで以上に伝わりやすく、理解されやすいコミュニケーションが実現できるはずです。

情報があふれる時代だからこそ、選び抜いた少数のメッセージが、最も相手の心を動かします。ぜひ、明日から「4±1の法則」を活用して、伝える力を磨いていきましょう!

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